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公園を抜ければ駅にだいぶ近くなる。
私たち以外には誰も居なかった。
円形になっている広場の中央で彼女は足を止めた。
どうするのかと思ったら、彼女はバレリーナのように華麗にターンをする。
まるで、公園のステージに咲く可憐な花のように思えた。
一回転したところで、私に向かってきれいなほほ笑みを見せた。
「……最後に会えてよかったよ」
白い吐息に混ぜて投げてくれた言葉。
その一言がとても嬉しかった。
君があまりにも優しく笑うから、その頬を赤く染めてみたい。
私は紳士になりきって、姫様の手の甲にキスをした。
出会えた喜びを抱きしめて。
白く染まる街で、私は心に雪化粧をする。
お互いに夢を叶えて、また会おう。
いつか どこかで。
-おわり-
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