82人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
「っ!?何!?」
ドラゴンが手をかざす。わたくし達の周囲に魔方陣が浮かぶ。
「話さぬからそなたの心を読み取っているだけよ。面白い叫びだったら生かしてやる」
「……そ、そうでなければ?」
「喰らうまでの事よ」
「……」
気絶していないのが、自分でも不思議だった。生きた心地なんて微塵もしない。
ジリッ。
(……逃げ、られないわよね)
わたくしの人生、ここで終わり、か……。ドラゴンにとって面白い叫びなんて思えないもの。さっきの。
(……最悪の誕生日にして、命日ね)
自分の運命を悟り、そっと目を閉じる。せめて最期は痛くないよう、そして来世こそは良き人生になることを願って。
最初のコメントを投稿しよう!