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自分の気持ちに気付いたと同時、現実を突き付けられて胸が苦しくなった。目頭が熱くなって、無性に泣きたくなった。
でも、それでもいい。ずっと一緒にいられなくてもいいから、今だけは──…。
そんなことを考えている内に、いつの間にか意識を手放していた。
「…紗良、寝た?」
すうすうと、規則正しい寝息が聞こえる。隣で気持ちよさそうに眠っている紗良の顔を見て、思わず頬が緩んだ。
「てか、よくあのまま寝れるよな」
こっちは理性保つのに必死なのに。危うく手を出しかけたけど、耐えた自分は偉いと思う。
まぁ、ちょっとドライなそういうところも好きなんだけど。
それにしても、今日の紗良はなんか違った。昨日とはまた違って、甘えていた気がする。
笑顔こそ見せてくれないけど、紗良がどんどん可愛くなっていく。徐々に心を開いてくれているのが伝わってくる。
「…やばいな、これ」
何が今だけだよ。
俺は本当に、紗良と離れられる日が来るのだろうか。
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