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青葉さんを回想した俺は答えを再考する。
――そうだ、三番目の青葉さんは勝気な性格だから、愛美ちゃんのように鬼を見て気を失うことはないだろう。だとすると、青葉さんはなぜ答えられなかったのか。
ん、待てよ? もしも先頭の俺と二番目のみずほ先輩の焼き印が同じ種類なら、青葉さんは自分に付された焼き印の種類を答えられるはずだ。けれど答えられないということは、俺とみずほ先輩の焼き印は違う種類ということになる。それなら勘で答えた場合、正解する可能性は二分の一だ。
だが、みずほ先輩はどうだ? 俺の後頭部の焼き印しか見えないが、それ以外の焼き印を答えた場合、正解できる確率は三分の二。だから、青葉さんよりはみずほ先輩の方が分がいいはずだ。
青葉さんはそれを察し、解答権をみずほ先輩に渡したのだろう。
「――というわけで、俺は青葉さんは選ばない!」
「なるほど。じゃあ、かつき君は結局、誰を選ぶのかな」
「そんなの、残りはひとりしかいないっしょ」
俺は三度めの解答をする。
「俺はみずほ先輩を選びまーす。だって、青葉さんよりもみずほ先輩を選ぶ方が無難だと思うから。消去法っす!」
すると、またもや手を突き出し俺の答えに待ったをかけた。
「なっ、なにそれ! 無難だとか消去法だとか! 相手を選ぶ時に、そんな選び方していいと思ってるの? 誠意がないわよ! ちゃんと確信がある相手を選びなさい!」
「はぁ、何が誠意で何が確信なんすか。ワケわかんないっす」
「とっ、とにかく答えを再考しなさい! や・り・な・お・し!」
みずほ先輩はいよいよぶっ壊れたようだ。もはや俺のスキルでは復活困難なレベルの瓦解に違いない。
解せない俺はみずほ先輩との成り行きを回想した。
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