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ただの従姉妹でしかないわたしをいきなり不良っぽい人たちの溜まり場に連れていったサキ姉は、そこにいた自分のツレや後輩、それから彼氏を紹介してくれてわたしにそこに通うように促した。 その日からサキ姉に言われるまま毎日そこに通うようになり、いつしかそこがわたしの居場所のようになっていった。 当時、その溜まり場を仕切っていたのは地元で有名な不良グループで、サキ姉はそのグループのリーダー的な存在―――コータさんの彼女だった。 突然やって来たわたしが当たり前のように居座る事について誰も何も言わなかったのはわたしを連れてきたのがサキ姉だったからなのだと、その頃中学生だったわたしにもちゃんとわかっていた。 当然だけれど影では色々言われていたし、わたしによくしてくれる先輩たちに好意を寄せる女の人たちには妬まれていた。 けれど、それは仕方のない事だと諦めていたし、それ以上にコータさんは数々の悪い噂が信じられないくらいに優しい人だった。なので、わたしは純粋にサキ姉とコータさんのことが大好きだった。 もちろんコータさんがわたしによくしてくれるのは、他ならないサキ姉のおかげだという事もよくわかっていた。勘違いはしていない。 それでも、それだけで十分だった。溜まり場に行くようになって同い年の知り合いも出来たし、学校でも溜まり場で知り合った人が話しかけてくれたりしたから。 ひとりで食べていたお弁当を誰かと一緒に食べられるのが凄く嬉しくて、不良グループのレッテルは張られてしまったけれど前よりずっと毎日が楽しかった。
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