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正直、さっぱり分からなかったわたしは、どのように答えようか悩みながら暫くその人を見つめ返す。
「あの……誰、ですか?」
結局、一番失礼な感じの問いかけをしてしまった。けれど、目の前のその人に怒る様子はなく、むしろ柔らかい口調で答えてくれた。
「カイ」
「………」
「俺の名前」
カイ。カイ君。カイさん。カイ先輩。
どれも違う。この人を呼んだ記憶はない。
そうは思うものの絶対に知らない人だっていう自信はないので、わたしが忘れているだけでやっぱり知り合いなのかもしれないと思うと言葉が出て来なかった。
―――けれど。
「面識はないかな」
「……それって、」
「はじめまして、だと思うけど」
「………」
「……俺のこと知ってるの?」
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