料理スキルだよ

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料理スキルだよ

「もしかしたら、あいつを殺ってくれるかもしれないね、あんた」 宿主の老婆は少々歳をとった冒険者の写った古い写真を見ていた。 *** 「さぁ、行こうか」 「はい、ご主人様」 「ヘカテー、冒険者の5原則を覚えているか?」 「はい、1つ、他の人間が狩っているモンスターには頼まれた時以外手を貸さないこと。2つ、ドロップアイテムは拾った冒険者のものとすること。3つ、やむ得ない事情がある場合以外、他の冒険者に迷惑をかけないこと。4つ、報酬は支払い、支払われること。5つ、常に自分が生き残ることを考えること。この5つですね」 まぁこれは守っても守らなくても変わらないが 「ああ、そうだ。それと、万が一にもないだろうが、もし俺が死んだら今渡すアイテムを使え、そうすればテミエストに戻れる」 まぁ、死ぬことは0に近いが、一応な 「それは…」 「ああ、保険だ」 「そう…ですか」 「そうだ、ついたぞ」 「ここは…オストダンジョンですか?」 「そうだ」 オストダンジョンの適正レベル値は大体50前後、ヘカテーは今レベル38だからなんとかなるな。さて、ダンジョンに潜るとするか。 *** 訓練の成果がよく出てるな。これくらいのモンスターじゃ手も足も出まい。レベルも順調に上がってきてるし、これならもう少し深く潜ってもよさそうだ。 「ヘカテー、さらに深く潜る、大丈夫か?」 「はぁ…はぁ…ちょっと、待ってください」 「わかった、少し休憩しよう、そろそろお昼だ」 「わ…かりました」 「さてと、材料は…と、これでいいか」 モンスターからドロップし、地面に落ちて砂がつき、少し腐りつつあるミノタウロスの肉を2つ拾う。 「ご主人様、それは食べられ…」 「お玉は…あった」 タクヤはカバンからお玉を取り出した。 「ほい、と」 タクヤはお玉を肉にぶつけた。 料理成功!★★「ミノタウロスの薬味ステーキ」ができた。 「え???????」 「はい、ヘカテーの分」 ステーキにはご丁寧に皿までついている。 「いや、おかしいですよね?なんでお玉でステーキが?それに皿まで?」 「料理スキルだよ」 「ご主人様がすごくてもそれは…」 「料理スキルだよ、いずれできるようになる」 これがこの世界の料理だ、全部一歩動く間の完成するんだよ、料理器具を使えばな、皿も薬味も付いてくる、お得だ 「ええ…」 「とっとと食え、それと、いちいち驚くな、これくらいで驚いてると何もできなくなるぞ」 「は、はい!」 「おっと、来客のようだな」 「へ?あ、わ、私が…」 「いや、俺がやるからゆっくり食いながら見てろ」 ミノタウロスの群れだな。数は12。内訳は無印が3、魔法使いが3、戦士が5、マスターが1か。問題ないな。だが、二刀流でやる間合いには遠すぎる。今回はヘカテーもいるし、あまりヘカテーからは離れたくないからな。 両腰から拳銃が抜かれる。両方とも黒っぽく、時代にふさわしくない、未来のものであった。しかし、何があろうと使えることは確かであり、それらはまごうことなき武器である。その2丁から繰り出されるのは弾丸。他のものよりもひとまわり大きく、速い。そして、1秒と経つことなく、ミノタウロスの頭を消しとばした。空薬莢の数は12。全弾命中である。
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