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女性店員の言う、説明の意味が分からなく、きょとんとしていると、女性店員は淡々と説明し始めた。
「ここに登録している男性は、全てAIなんです。つまり、生身の人間ではないんです。AI(人工知能)を持ち、見た目は人間のように、精巧に作られた言ってみれば、機械です」
女性店員の言葉と共に、驚きもあったが、今まで疑問だった違和感がわかったような気がした。
「だから、違和感があったんだ!なるほど!」
「違和感?何かありましたか?」
「木下さんが流した涙が、私の手の甲に落ちて流れなかったのも、宇治原さんに腕を掴まれたときの違和感も、全てAIだからか!」
「そうです。大原さんが感じていた違和感は、AIだからです。まだまだ開発途中ということもありまして、上手くいかない部分があったり、故障してしまうことがあるんです。だから、先ほどの男性のお客様は、その修理に来られたんです」
「そうなんですね」
「そういえば、結婚とかってどうなるんですか?」
「我々はある程度、AIにお客様のことが好きになるように、プログラミングをしています。そして、人間の持つ喜怒哀楽もAIに、プログラミングしています。お客様と過ごす中で、稀にAI自身が感情を持つことがあるんです。でも、それはごく稀です。なので、上手くいけば、結婚ができるというわけです」
「なるほど・・・」
「我々は、恋にトラウマを抱えた人や、恋を知らない人、誰かに愛されたことがない人などのために、このAIを開発いたしました。もちろん、所詮は機械ですので、生身の人間に比べると、限度はあるかもしれないですが、お客様にとってAIが、心のよりどころになったり、少しでも笑顔になったりしてくれれば、幸いです」
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