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そんなこんなで結局一限は受けられず、約1時間ボソボソと中身のない会話を繰り返した結果、煌雅にとって子守唄になったようです。爆睡してます。 『ほんと、寝てる時だけは年相応…』 パーツが整った顔をぼーっと眺めていると、 コンコン____ ドアをノックする音が聞こえた。 この空き教室に来る人なんて滅多にいない。むしろ煌雅が怖くて近づかない人方が多いはず。 だったら、誰だろう…? 俺の膝枕で眠りこけてるやつを無理やり起こすのも気が引けたから、息を潜めてドアの様子を見守った。 すると、ドアは小さな音を立てて控えめに開いた。 「あ、見つけた」 『へ?マルイチ?』 「神崎先生が授業真面目に出ろってさ」 相変わらず爽やかな笑顔を浮かべてそう言った。 それにしてもよくこの場所が分かったな。いやでも煌雅がここにいることはうちの学年の中じゃ有名だから少し考えたらわかるのか。 『なるほど…。悪いな、わざわざ探してもらって』 「ううん、気にしないで。__…だし」 ボソっと小さな声で呟いた一言。俺には聞こえなかった。 「じゃ、俺は先に教室戻るよ」 『おう、俺もこいつ起こしてすぐに行くわ』 軽く挨拶をすると、マルイチは颯爽と去っていった。 なんか、うん、今日も爽やかだなあいつ。 さて、気が引けるけど煌雅を起こすか。 パッと下を向くと、 『お、起きてる』 眠そうな瞳とバッチリ目が合った。寝起きだからかその視線にはいつもの鋭さを感じない。あどけない感じが少し可愛い、かも? 『怠慢教師が授業出席しろって』 「…だる」 『激しく同意。でも前回の考査まじで詰んでたから授業は出ようかな』 「ん」 全身からだるいオーラを放っているやつを何とか起き上がらせて教室へ向かうことに。 煌雅は何度も欠伸を噛み殺して本当に眠そうだ。その姿を見て自然と笑みが零れた。 ちなみに煌雅くんは居眠り王子だから教室に戻ったあとも爆睡してたぞ(こら) ○
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