男子校の非日常

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私立神楽坂学園____。
全国でも有数のエリート校。全寮制の男子校で、将来を約束された金持ちばかりが通う。

広大な敷地を有し、凡(おおよ)そ高校とは思えないほど整った設備が提供されて、のびのびと勉強することができる。それはもうのびのびと。
さることながら全寮制の男子校なので、同性に恋情を抱くホモォが蔓延っている。全校生徒の約3割が同性愛者という記録的な数値を叩き出したことも記憶に新しい。ちなみにバイ5割でノンケ2割。俺はしっかりとしたノンケだ。

そんな学園に今年4月、新入生として入学した俺__杠葉(ゆずりは)千晴(ちはる)は新入生歓迎会の真っ只中。

ゴールデンウィーク明けの5月。日中の気温も上がりかなり過ごしやすい。
この時期は学園生活に慣れてきた新入生の為に、毎年歓迎会が執り行われる。
今年の内容は鬼ごっこ。新入生だけでも300人超え。全校生徒約1000人で半分にわかれてひたすら鬼ごっこをする会。ハッキリ言ってめちゃくちゃくだらない。新入生歓迎会なのに全然歓迎されている気がしないのは俺だけだろうか。

ちなみに生徒会様は問答無用で逃げる側。生徒会を捕まえられた人は、好きな役員とのデート券を貰えるらしい。心底いらないし、生徒会のこと好きじゃない人にとっては全く需要ない。

生徒会に所属している人は学園内でも人気が高く、少しでも気に入ってもらおうと、その人の特別になろうと媚び諂う生徒も多いらしい。クラスメイトが話しているところをたまたま聞いたから知らないけど。

俺は逃げる側だったから、未だに迷子になる学園内を気の向くままに散策していたのがおよそ30分ぐらい前のことだと思う。

そして何故か今、両手両足を縛られて目隠しをされている。はっきり言おう。大ピンチだ。
芋虫のように転がされ、頬にザラザラとした砂の感触がする。肌寒いしどこかの室内かな。今日は晴天だから外ならもっと暖かいはずだし。

確か、人の少ない穴場スポット見つけたーって喜んだ瞬間、頭を何かで殴られたような…？
と、思い出した途端ズキズキと後頭部が痛み出した。

そういえばこの前クラスメイトの話していたとある噂話が思い出される。
"2,3年生に目つけたくなければ第2体育館の倉庫には近づくな"と。

『誰かいませんかー…』

声が震えるのは許して欲しい。こんな状況人生初体験すぎて対応できない。物理的にも動けないし。
もしかしてここは噂の第2体育館の倉庫なのでは、と思い始めた。

どうにか手首の縄を取ろうともがいてみるけど、かなりきつく縛られているようで緩む気配すらない。むしろもがけばもがくほど、摩擦で手首がヒリヒリと痛んだ。

どれぐらい経ったか分からないけど、錆びた鉄が擦れる耳障りな音がした。どうやらドアが開いたらしく、耳を済ませると足音を複数確認。
助けが来た？と淡い期待を抱いた。