2人が本棚に入れています
本棚に追加
藍と一緒に暮らしはじめて一週間が経った。これは僕の間違いでもなんでもない。いま目の前で、檻の中に入れられている女性が、愛、だと言葉では知っていても、もう僕の心は、藍、以外を受け入れられなくなっている。
そして僕は、藍に、藍との話を聞かせた。僕が罪に手を染めた記憶まで詳細に。
「許してあげる」と、藍は言った。「ここから出してくれたら」
「それは……」
「人殺し。きみは許されない、人殺し。でも私と一緒にやり直せば、そんな罪の色が消えるかもしれない。いいじゃない。別に私がここから出たとしても、きみの、きみ自身の罪よりずっと軽いんだから」
僕の手には、檻の鍵がある。
「あぁ……」
「いまさら、なんでそう、罪悪感を覚えるの? 罪を犯した人間が」言いながら藍は、かつて僕が絞めた首を撫でる。彼女の声が、僕を苦しめる。「ねっ」
と藍がほほ笑む。
僕は鍵穴に、持っていた鍵を差し込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!