Re:new

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 「あーっ」  喉から転がり落ちた声はあたしの体の体積分流れ出たお湯とともに排水口へとぐるぐる吸い込まれてく。そのお湯すらもあたしのものだったんだから、あたしがどう使おうが捨てようがまったく問題ないのだ。  家を出た。親の反対を押し切って、私は商業高校を卒業しとある短大の事務に配属となり早年。今ではすっかり古株の仲間入りをした。  高卒なのと、事務という職業柄お給料はやはりそれなりだが、こつこつ貯めたお金がようやく目標の金額に達した。家を出るための資金。あたしだけの城を築くための初期投資。  別に、実家通勤でも問題なかった。職場から特別離れているわけでもないし。むしろ立地条件としては実家にいた方が最適で、友人らにこの話をすると、なんで!?信じられない!!と、だいたい言われる。  でも、もう懲りたのだ。  20歳過ぎてもあれこれ身の回りの世話を焼きたがるお母さんに。とにかく娘のあたしに好かれようと、箱入り娘よろしく仕立て上げようとするお父さんに。
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