第三話「立ち向かう勇気」

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 美咲は 「少し、離れて……」  と、静かな声で言う。  そして、よう、酒呑童子に目で伝える  美咲の合図を理解すると、乙愛を窓から離れさせる酒呑童子 「え? な、なんで?」 「ま、まぁ……直に分かる」  乙愛が聞いて酒呑童子が答えた__  その瞬間  パリン! と、音を立てて割れる窓ガラス  突然少女が、窓を蹴り破って飛び込んで来た  乙愛は明るい茶髪の、少し長めのショートヘアの少女と目が合う  その少女の右目は、黒い眼帯で覆われている。 「うわぁ~!」  少女の登場に呆然としていた乙愛  い、一体何処から!?  いやそれより__  今、この子窓ガラスを破って来なかった!?  何より印象的だったのは、窓を割って入って来た事だ  少女は元気いっぱいに 「お待たせっ!」  と言って、ガラスの破片と共にその場に着地する。 _______________________ 「あたしの名前は渚日向(なぎさひなた)! 君の名前は?」  少女__日向は名乗り、手を差し出して聞いてきた 「あ、天羽乙愛です!」 「へぇ~乙愛ちゃん……か、良い名前だね!」  焦って乙愛が名乗ると、ニッと笑い、日向は乙愛の名を褒める。  日向にそう言われ、乙愛は恥ずかしさで顔を赤くする  が、すぐに我に返った 「__って、そうじゃなかった! 日向ちゃん!」  乙愛に名前を呼ばれ 「はいは~い?」  と、返事をする日向  乙愛は日向を心配しながら、恐る恐る聞く 「さっき、窓を蹴り破って入って来たけど……だ、大丈夫なの?怪我してないの?」 「ズコッ! えっそこ?」  感謝の言葉が来ると思っていた日向は、思っていたのと違う言葉がきて、思わずよろける 「ま、まぁ良いや……全っ然、平気! 身体全身痛すぎるけど、大丈夫大丈夫!」 「それ、大丈夫って言うの〜!?」  日向の答えに対して、乙愛は思わずツッコむ。 「大丈夫。日向はこれが日常茶飯事だから。それに戦少女には、怪我をしないように精霊がついてるし、怪我をしても、精霊が治してくれるし」  無表情のまま動揺する事なく、心配する乙愛に対し、平然と答える美咲  日向の様子と美咲の冷静さに 「大丈夫……なのかな〜?」  乙愛は不安げに呟く  更に乙愛は、心の中でふとがあった。  そういえば、日向ちゃんのパートナーの神聖は何処に……  日向(パートナー)がいつもこんな事をしているのに、どうして止めないんだろう?  乙愛は疑問に思い、周囲に日向の精霊がいないのか、見回す。 「うーん……あれ?」  すると、人の姿をしたアンジュと酒呑童子に、問い詰められている女性がいた  山吹色の腰ぐらいまである長い髪に、前髪が少し片目隠れして、右目が眼帯で覆われた、ほぼ日向と同じ見た目の女性 「何故あの小娘を止められなかった……!」 「貴女も一緒にいたのなら、どうして!」  アンジュと酒呑童子は女性を問い詰める  が、一方女性は二人の意見に反論出来ず、弱々しい声で日向に助けを求める 「ひ、日向ぁ〜!」  しかし、助けを求められても、日向は助ける事が出来ない  美咲に色々文句を言われつつ、散らばった窓ガラスをほうきとちりとりで片付ける作業をしていた。 「あーあははっ……印象に残る登場をしようと思ってぇ……痛っ!?」 「だからって、窓ガラス破壊はない」  言い訳をしても、美咲にあっさり否定されて、脛を蹴られてしまう日向  そんな二人をよそに、乙愛はそっと 「あ、あの~アンジュさん。その人は?」  と、アンジュ達に話しかける  アンジュと酒呑童子は、乙愛の声を聞くと、女性を問い詰めるの止め、紹介した。 「ああ乙愛……この人は、パイレーツさん。私や酒呑童子さんと同じ、神聖の一柱です」 「パ、パイレーツさん……アンジュさんと酒呑童子さんに、色々言われてたみたいですけど……大丈夫ですか?」  乙愛は心配そうに、パイレーツに聞く 「だ、大丈夫大丈夫。いつもの事だし……日向に振り回されてばかりで、まだ彼女を出来てない私の問題だから、気にしないで」  せ、制御って……  日向ちゃんは動物かなにかなの?  乙愛は心の中で、パイレーツの言葉にツッコむ  大丈夫そうに乙愛の問いかけに答えるが、その顔は二人に問い詰められて今にも泣きそうな顔になっているパイレーツ 「あなた、それでも神聖なの!!」 「お前、それでも神聖か!!」 「ゔっ……」  アンジュと酒呑童子が同時に口を開き、それが槍となってパイレーツの心を貫いた。
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