22人が本棚に入れています
本棚に追加
人気のないところ……
本当にここであってるのかな~
不安になる乙愛
すると草の方からガサガサ音が聞こえて、乙愛は身体をビクッとさせ、聞こえてきた方を警戒する
が、今度は逆の方から
「そこのあなた!」
と、自分を呼ぶ声が急に聞こえてきた
乙愛は驚き、声がした方をゆっくりと振り返る。
すると、そこには羽の生えた小さい女の子の見た目の精霊がいた
「あなたですよ!あなた!」
精霊が目の前にいる……
乙愛は、今の状況が全く理解出来ない
「え? え? どういう事!? 精霊……!?」
「落ち着いてください! 私の話を聞いてください!」
戸惑う乙愛の様子を見て、精霊は乙愛を落ち着かせる
ゆっくりと深呼吸をし、乙愛は話を聞くことにした
その様子を見て、精霊は話し始める
「お願いがあるんです」
「今、この世界には危険な存在がいます! どうか、そんな存在からこの世界を守る戦少女になって、戦ってください!」
そう言うと、頭をペコペコ下げながら乙愛に頼む
「うん! え? 戦う……?」
今、戦ってって言った? それに戦少女って__
確か、歴史の教科書とかに載ってた、あの?
乙愛はすぐに受け入れた
が、内容に少し驚き、色々戸惑っていた
「戦少女になれって、言われても……どうやって__」
しかしそんな乙愛を置いてけぼりで、精霊は話を続ける。
「申し遅れました! 私はナビル! 戦少女の皆様を支えている、普通の精霊です!」
「いや、そうじゃなくて……」
精霊__ナビルの言葉に、ますます困惑する乙愛
「あなたが手に持っているその羽根は、戦少女に変身して、戦う力になるんですよ!」
ナビルがそう言ったのに対し
「あの〜、たまたま拾った羽根だけど……」
と、乙愛はボソっと呟く
しかし、ナビルは話を続ける。
「その力でどうか……魔族を!影の化け物をなんとかしてください!!」
ナビルの言葉に乙愛はふと思った。
影の化け物……
私が小学生の時に、影の化け物については教えてもらったし、影の化け物も歴史の教科書に載ってた
人を襲い、あらゆる物を破壊する
影の化け物に遭遇し、襲われた人間が無事に帰ってきたという話は聞いた事がない
どっちかと言うと、犠牲者の事とか、今まで影の化け物によって起きた事件の事ばかり……
えっと、確か影の化け物は
接触した人間を殺す為に、灰にしたり、黒くドロドロに溶かしたり、するんだとか……
う……考えただけでも、寒気と鳥肌が……
あと、違う個体もいるらしいけど、そんなのと戦えって無茶振り過ぎるよ〜!
乙愛がそう思っていると__
「誰かー! 助けてー!!」
突然、助けを呼ぶ声が聞こえ、乙愛は声がした方へ向かう。
_______________________
ービルの屋上ー
屋上の鉄ドアを開けて、辺りを見渡す乙愛
すると端っこの方に、恐怖に怯えながら、うずくまっている女の子がいた
乙愛は女の子に近づき、そっと話しかける
「ねぇ、さっきの助けを呼ぶ声は君の声?」
「ひっく、ひっく……」
乙愛が聞いても、女の子はしゃくりあげるだけ……
乙愛は女の子の背中を擦りながら
「大丈夫、大丈夫……」
と優しく言う。
乙愛の問いかけに対して、女の子はコクリと頷く
泣いていたが、女の子は頑張って呼吸を整える
落ち着き、口を開いて話し出す
「学校の帰り道で影の化け物に追いかけられて、ここまで逃げてきたの……」
女の子がそう言うと、乙愛は女の子の瞳に浮かんでいた涙を拭き取る
そして頭を撫でて言った。
「そっか……よくここまで頑張ったね、怖かったね……」
「でももう、大丈夫だよ。ここにいれば安全だから__ね?」
その言葉を聞いて女の子は頷く
だが、二人が安心したのも束の間__
鉄ドアがバコン! と、音を立てて凹む
『……ッ!?』
凹んだ瞬間、二人の安心はまた恐怖に変わる
バコン! バコン! バコン!
鉄ドアが何度も凹む音が二人の恐怖心を更に煽っていく
「お姉ちゃん! こ、怖いよぉ……」
「大丈夫、お姉ちゃんがついてるから……」
乙愛にしがみついて言う女の子
乙愛は女の子を落ち着かせるのと、自分の中の恐怖を抑える為に、ただひたすらに繰り返し言う
が、とうとう鉄ドアが吹っ飛び、ドアの向こうから影の化け物が出てきた。
「あの影の化け物は!?」
声を上げるナビル
乙愛が問いかけると、ナビルは話し出す
「……私は戦えないので、ただ見てる事しか出来ませんでしたが__」
「あの時の、人の負の感情から生まれた影の化け物です!」
ナビルが答えると
「え? 人の感情から、生まれた……?」
と言って、乙愛は困惑した。
最初のコメントを投稿しよう!