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「で、話を戻しますが……」
「今、あなたは大変な状態なんですよね。影の化け物に追い詰められて」
アンジュにそう言われ、乙愛は必死に伝えた
「! そうなんです! 人助けのつもりが、影の化け物に追い詰められて、どうしようもなくなって……ダメ元でこの白い羽根に助けて欲しいって言ったんです! そしたら__」
焦って言いかけた乙愛を片手で制し、アンジュはにっこり微笑む
「私があなたの思いに反応して覚醒し、あなたをここに呼んだのですね」
アンジュがそう言うと、乙愛は必死に頭を縦に振る
乙愛の言葉をしっかり理解すると、アンジュは乙愛に向けて言った
「天羽乙愛、私がなんとかしましょう。ただし__」
「今あなたが、この状況をどうしたいのかの願い。力を手に入れてから何がしたいかの祈り。何をするべきなのかの使命。それらがあるかどうか聞かせてほしいです」
そう言われ、乙愛は一瞬困惑する
しかしすぐに答えた。
「私は__自分だけじゃなくて、助けてと言っていた女の子を助けたい! 勿論、苦しんでいた影の化け物も助けたい!」
無言で乙愛の願いを聞いていたアンジュ
乙愛がすぐに、影の化け物も助けたいと言った事に少し驚く
しかし、そんな乙愛を見て微笑む
「力を持ってからは……力があるんなら……人々だけじゃなくて、影の化け物も助けたい! 私の使命はこの世界と人々を守り、影の化け物を救う事! 私はそんな存在になりたい……!」
アンジュは乙愛の願い事を聞くと頷いてから
「天羽乙愛、私の天使の力を授けましょう。だからお願いします、どうか……! どうか、その力で人々も影の化け物も助けてください!」
と、乙愛に手を差し伸べて言った。
乙愛は躊躇う事なく、アンジュの手を繋ぐ
「はい! アンジュさんの思いも受け継いで、この力を、人々を守り、影の化け物を助ける為に使います! 使わせてもらいます!!」
「ふっ……ありがとう。天使の力、貴女に託します。天使の戦少女……天羽乙愛」
そう言って、アンジュは消えてしまう
_______________________
ー現実世界ー
ゆっくり目を開ける乙愛
そこには目を塞いだ影の化け物と、乙愛の様子を見て、驚いている女の子がいた。
ふと暖かさを感じ、乙愛は片手を見る
乙愛の片手には、いつの間にか白いクリスタルのペンダントがあった。
「これって……」
乙愛はボソっと呟く
するとナビルが
「乙愛様!それが天使の力のペンダントです!アンジュ様が乙愛様に力を授けてくださったのですね!」
と、嬉しそうに言った。
身体に力が入っていくのを感じる乙愛
(これが、アンジュさんの……天使の力! でも、どうやって……!)
乙愛は、力を手に入れてもどうすればいいのか分からない
(アンジュさん……!)
乙愛はアンジュに助けを求める
すると、消えたはずのアンジュの声がまた聞こえてきた。
「乙愛、大丈夫。私の力を信じて!!」
暖かく、安心する声
乙愛の不安を和らげてくれるアンジュの声……
そして__乙愛は覚悟を決める
(……はい!)
ナビルは乙愛に
「そのペンダントを持って天使の力、お借りいたします!って唱えてください!」
と叫ぶ
乙愛は頷いて、ナビルの言う通り唱えた
「天使の力、お借りいたします!」
その瞬間、戦の力のペンダントが光り、その光は乙愛を優しく包む
光の中でアンジュが現れ、乙愛の髪飾りが小さいリボンから天使の羽根へと変わり、服装も白と水色の魔法少女風の衣装に天使の翼が生えた姿へと変身を遂げていった
光が消えると同時に周囲に天使の羽根が散らばった。乙愛は目を見開いて、自分の姿に驚く
乙愛は天使に……
天使の戦少女になっていたのだ。
ー続ー
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