第二話「初任務」

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第二話「初任務」

「え?えぇ?えー!?何これ?私どうなって……」 「お姉ちゃん、凄い……」  乙愛に見惚れた女の子は呟く  一方で乙愛は、自分の姿に困惑を隠しきれなかった。  そんな乙愛を影の化け物は待ってはくれず、襲いかかって来る。 「乙愛様! 危ないっ!」  ナビルの声で気づくも、もう遅い  乙愛は、影の化け物の攻撃を受けたと思ったが、攻撃を受けた感じがしない。 「あ、あれ……?」  すると、金属の擦り合う、ズガガガーと引っ掻くような音が聞こえ、乙愛はそっと目を開ける  目の前には、半球のバリアが展開され、バリアと乙愛の間に、小さい天使の様な精霊がいた。 (攻撃を受けてない、のかな……? あのバリアに守られたのかな……?)  精霊のバリアと影の化け物の攻撃がせめぎ合う  そんな中、乙愛がそう考えていると…… (乙愛、大丈夫ですか……!?)  乙愛を心配する声が聞こえてきて、乙愛はその優しく、暖かい声の主が誰か、すぐ分かった。 「アンジュさん……!? アンジュさんなんですか!?」 (ええ私です。乙愛、怪我はありませんか……?)  アンジュは乙愛に問いかける (私は大丈夫です! それよりアンジュさんは何処に? まさか、この世界に来れないとか……!?)  乙愛は周りをキョロキョロしながら、アンジュに聞く  しかしアンジュは 「ここにいますよ」  と、平然としながら言う  少しパニックになっていた乙愛は、二回も聞きそうになった  が、アンジュが平然と答えたのに対して、思わず間抜けな声を漏らす。 (ここですよ、ここ! ここ!)  アンジュがそう言うと、バリアで乙愛を守っていた精霊は、バリアで影の化け物を後退させて、振り向いた 「いや、まさか……え?」 (この小さい精霊が、私です)  アンジュがそう言うと乙愛は 「えええぇぇーーー!?」  と、声を出して驚く。 「ほ、本当に、アンジュさん……なんですか?」  恐る恐る乙愛が聞くと、当たり前のように答えるアンジュ (私ですよ) (なんか凄く可愛くなってる……)  乙愛はボソッと呟いたが、対してアンジュは咳払いをして乙愛に言う (あと乙愛、今の私は普通の人には見えない状態です……だからそこにいる少女から見たら乙愛が独り言を言ったり、勝手に驚いているように見えるのです)  アンジュに言われて気づいた乙愛は、振り返って女の子に謝った 「あ、ごめんね! びっくりさせちゃって!」 「いや、大丈夫だよ! お姉ちゃん!」  深呼吸をしてから乙愛はアンジュに、今起きている事が一体なんなのか聞く (アンジュさん、今これ……どういう状況なんですか?) (今は乙愛が、私の力で戦少女に変身したという事しか言えません。それに__! ぐっ……!) 「ヴォオオオオオオオオオオオオ!!!」  アンジュが言いかけた途端、また影の化け物が襲いかかってきた  しかし、アンジュはバリアで防いで、乙愛の後ろにいる女の子を見る (説明している余裕もありません! 乙愛! その少女を!)  アンジュに言われ、女の子を抱っこするも、乙愛は困惑してしまう 「武器なんて無いよ〜! どうしたらいいの……!?」 (乙愛! 戦少女の武器は、その戦少女の思いで生まれます! 今のあなたでは、まだ武器は生まれない__) (だから今は、無理に戦うのではなく……その少女を連れて逃げるのです!)  アンジュに言われ、女の子を連れて逃げようと跳ぶ乙愛  しかし、高く跳んだ事に驚きを隠せない。 「えーっ!? と、跳び過ぎっ!!」 (戦少女に変身すると、一時的に身体能力が上昇するのです) 「それ早く言ってくださいよー!!」  アンジュがさらっと言ったのに対し、乙愛はそう言いながら落ちて行く  しかし、アンジュがバリアをクッション代わりに使い、乙愛のダメージを軽減した。 「うぅ! いったた……」 「ヴヴヴ……ヴヴヴ……」  乙愛が体勢を立て直そうとするも、影の化け物は複数で囲んで追い詰める (ッ! し、しまった……囲まれた!?)  乙愛はもう一度跳んで逃げようとした  しかし、空にも飛行型の影の化け物がいて、絶体絶命のピンチ…… (駄目っ、逃げ場が無い……!?)  一体の影の化け物は、逃げ場を失った乙愛達に襲いかかって来る。 「乙愛ッ……!」 「乙愛様ーーーー!!」  アンジュとナビルは叫ぶ  アンジュは乙愛達を守ろうとしたが、間に合わない……! _______________________  乙愛がそう思った瞬間、何処からともなくやって来た刀が影の化け物に刺さり、影の化け物は光となって消えた。 「え……?」  驚きを隠せない乙愛  影の化け物が、消えた……?  一体、何が__  影の化け物を刺した刀の柄に着地する鬼の様な見た目の少女  あの子が、私を助けてくれたのかな……?  長くて、凄い綺麗な髪……  鬼みたいな角と、和服に刀……?  かっこいいなぁ……  少女を見ながら、乙愛はそんな事を考える
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