22人が本棚に入れています
本棚に追加
「! あれって……!」
(乙愛! あれこそが核です! 弓矢で核を射抜いて下さい!!)
アンジュが言うと乙愛は、弓矢で核に狙いを定める
が、また乙愛の頭に、影の化け物の心の声が聞こえてきた。
(苦シイ……! 苦シイ……! 苦シイ……!)
その声を聞いて、乙愛は攻撃を躊躇う
ピタリと止まる弓矢
影の化け物、苦しそう……
人から恐れられている化け物にも、心はある
苦しむ心が、ちゃんとある……
乙愛はそう思うと、もう駄目だった
弓矢の軌道が外れ、手が震えてしまう
そんな震える乙愛の手を、後ろから鬼の戦少女が自身の手で、優しく包む
「あっ……」
乙愛は思わず、小さく弱気な声を漏らした
が、鬼の戦少女は気にしておらず、寧ろ乙愛を心配していた。
「大丈夫。落ち着いて、呼吸を整えて」
鬼の戦少女に言われると、乙愛は心を落ち着かせる
そして手の震えを抑え、今度こそ覚悟を決める。
__もう、迷わない……!
乙愛はその思いで、影の化け物の核に狙いを定めて叫ぶ
「……希望の光!!」
「グァア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
乙愛は自身の技を影の化け物に向けて放つ
影の化け物は核が砕けて、断末魔と共に光となって消えていく。
「……倒した、の?」
(倒したのではなく、負の感情を浄化した事によって影の化け物が消えたのです)
乙愛が呟くとアンジュが修正した。
「そっか……あ! そういえばあの少女は!?」
乙愛はそう言って周囲を見回す。
乙愛と女の子以外、誰もいない
あの少女は既にいなくなっている……
「色々助けてもらったお礼、言うの忘れちゃった……」
乙愛は寂しそうに独り言を言った
「新たな、戦少女……」
少し離れた所の高台から、哀しそうな目で呟く少女
_______________________
乙愛が初めて戦少女になった翌日……
昨夜の事後、乙愛が助けた女の子は、無事に親の元に返されたらしい
乙愛達の活躍は、テレビのニュースや新聞にて
「戦少女二人の活躍によって人的被害は大幅に抑えられた」
や、
「影の化け物を退いた二人の戦少女」
など騒がれていた
尚、騒いでいたのはニュースや新聞だけではなく、乙愛の教室のクラスメイト達もだ。
「ねぇ天羽さん、今朝のニュースに映ってた戦少女って天羽さん?」
「すっごい似てたから天羽さんじゃない?」
一人のクラスメイトが、乙愛に聞いたのに対し、連れが確信を持って言う
一方乙愛は、自分が戦少女だと言うべきか悩んでいた。
ど、どうしよう……これ、言っていいのかな?
もし、言っては駄目なやつだったら__
乙愛がそう思った瞬間、教室のドアをコンコンと、ノックする音が聞こえてきた。
「……失礼します」
ドアが開くとそこにいたのは、乙愛達を助けた少女と、同じ見た目の紫の瞳と髪色の長い髪の少女
「すみません。このクラスに、天羽乙愛さん……いませんか?」
少女は落ち着いた声で聞く
最初のコメントを投稿しよう!