第二話「初任務」

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「! あれって……!」 (乙愛! あれこそが核です! 弓矢で核を射抜いて下さい!!)  アンジュが言うと乙愛は、弓矢で核に狙いを定める  が、また乙愛の頭に、影の化け物の心の声が聞こえてきた。 (苦シイ……! 苦シイ……! 苦シイ……!)  その声を聞いて、乙愛は攻撃を躊躇う  ピタリと止まる弓矢  影の化け物、苦しそう……  人から恐れられている化け物にも、心はある  苦しむ心が、ちゃんとある……  乙愛はそう思うと、もう駄目だった  弓矢の軌道が外れ、手が震えてしまう  そんな震える乙愛の手を、後ろから鬼の戦少女が自身の手で、優しく包む 「あっ……」  乙愛は思わず、小さく弱気な声を漏らした  が、鬼の戦少女は気にしておらず、寧ろ乙愛を心配していた。 「大丈夫。落ち着いて、呼吸を整えて」  鬼の戦少女に言われると、乙愛は心を落ち着かせる  そして手の震えを抑え、今度こそ覚悟を決める。  __もう、迷わない……!  乙愛はその思いで、影の化け物の核に狙いを定めて叫ぶ 「……希望の光(ホープ・ライト)!!」 「グァア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」  乙愛は自身の技を影の化け物に向けて放つ  影の化け物は核が砕けて、断末魔と共に光となって消えていく。 「……倒した、の?」 (倒したのではなく、負の感情を浄化した事によって影の化け物が消えたのです)  乙愛が呟くとアンジュが修正した。 「そっか……あ! そういえばあの少女は!?」  乙愛はそう言って周囲を見回す。  乙愛と女の子以外、誰もいない  あの少女は既にいなくなっている…… 「色々助けてもらったお礼、言うの忘れちゃった……」  乙愛は寂しそうに独り言を言った 「新たな、戦少女……」  少し離れた所の高台から、哀しそうな目で呟く少女 _______________________  乙愛が初めて戦少女になった翌日……  昨夜の事後、乙愛が助けた女の子は、無事に親の元に返されたらしい  乙愛達の活躍は、テレビのニュースや新聞にて 「戦少女二人の活躍によって人的被害は大幅に抑えられた」 や、 「影の化け物を退いた二人の戦少女」 など騒がれていた  尚、騒いでいたのはニュースや新聞だけではなく、乙愛の教室のクラスメイト達もだ。 「ねぇ天羽さん、今朝のニュースに映ってた戦少女って天羽さん?」 「すっごい似てたから天羽さんじゃない?」  一人のクラスメイトが、乙愛に聞いたのに対し、連れが確信を持って言う  一方乙愛は、自分が戦少女だと言うべきか悩んでいた。  ど、どうしよう……これ、言っていいのかな?  もし、言っては駄目なやつだったら__  乙愛がそう思った瞬間、教室のドアをコンコンと、ノックする音が聞こえてきた。 「……失礼します」  ドアが開くとそこにいたのは、乙愛達を助けた少女と、同じ見た目の紫の瞳と髪色の長い髪の少女 「すみません。このクラスに、天羽乙愛さん……いませんか?」  少女は落ち着いた声で聞く
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