My secret fun

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My secret fun

キャー!キャー!と、黄色い歓声が体育館中に響き渡る。 紺色のスカートを揺らしながら、女子生徒達はお目当ての男子生徒を視界に捉えては、頬を染めあげている。 「彩名花(さなか)、ここに居たの?」 「……由利花(ゆりか)」 体育館の2階ギャラリー席にポツンと座っていた姿を見つけたのだろう、”写真部”と書かれた腕章を腕につけた、由利花がいつの間にか傍に来ていた。 「由利花は、部活動の写真撮りにきたの?」 「そう。彩名花は?誰か見にきたの?」 「私は…ここからの景色がいいから……」 ギャラリー席の窓から見える、校庭や校舎に目線をやる。 「相変わらず、よく分かんないのに感性持っていくよね…双子なのに、感じ方違うの面白いね」 「そうだね…ねぇ、同じ部の人じゃない?下で手招きしてるの」 「げ、部長だ。あんまり遅くならないようにね!バイ!」 (たちばな) 由利花は、快活で物怖じしない性格の姉。一方、妹の彩名花は、物静かで何を考えているのか分からないと遠巻きにされる。 (ほんと、なんで双子なのにどこで違ったんだろうね) ふぅっと溜息をついて、手に持っていたハードカバーに挟んでいた栞部分を開く。 「「「如月くーん!!!」」」 一際大きな女子生徒達の声に、ドキッと胸が高鳴った。 (来たっ!) 読んでいた部分に栞を挟み、ギャラリー席の欄干に近づく。 歓声に応じずに、選手交代しバレーコートに入る彼、如月 清澄(きさらぎ きよと)の姿に、感嘆の溜息が出た。 「……今日も格好良い…」
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