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数ヶ月前には、私を真似てカットしたと言い、今回は私を真似てカラーリングしたという瑠璃子は肩下までの髪を指にくるくると巻き付けながら
「地毛が違うからかな?全く同じではないね」
と言う。
「パッと見たら同じ色じゃない?十分同じだよ」
私の髪が伸びていなかったら全く同じヘアスタイルになるじゃない。まあ、身長差があるので雰囲気はかなり違う私たちだが。
職場で明るいカラーは禁止されていたのでダークブラウンの髪だが、深みのある赤を混ぜてもらっているので光の具合で大人っぽい赤味がかった艶が見える今のカラーが気に入っている。
ピンポーン…8時前か…
「はぁい」
「紫乃、いきなり開けるなよ」
「征二ってわかってたもん」
「‘もん’って言ってもダメ」
「ごめん…気をつけます」
私の頭にポスンと手を置いた彼に
「こんばんは、征二さん。紫乃、帰るね」
「うん、またね」
「瑠璃子ちゃん、またね」
「はい。征二さん、ごゆっくり」
瑠璃子は、部屋着に踵のないスリッポンサンダルでひらひらと手を振り帰って行った。
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