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「どこかから連絡あった?」
「ううん…ダメだった」
「そうかぁ、ちょうど新卒の入る時期だから中途は厳しいのかもな」
「ハローワークとかに求人票はあるけど、1名だけ募集っていうのが多くて‘いい人がいたら’っていう急がない求人に見える」
食事を10分ほどで済ませた征二は、一粒ちょうだいと言いながらストロベリーチョコを口に放り込み
「あまっ」
お茶を慌てて飲んだ。
「明日はいい知らせがあるといいな、紫乃」
そう言いながら立ち上がる彼に
「もう帰るの?」
「うん、明日朝早いんだ。でもちょっと紫乃の顔見たかったから」
「ありがと。何時?起きられる?」
「大丈夫」
私も聞きながら立ち上がる。彼は上着を着ると、チュッと私の口の横、頬というのだろうか…キスをして帰って行った。
彼の最寄り駅は隣の駅。私が具合が悪くて下車した駅だ。だが、最寄り駅までは徒歩10分、私の駅までは徒歩15分というくらいの部屋なので、ここから歩いて帰ることのできる距離に住んでいる。
彼の言う通り…明日はいい知らせがあるといいんだけど…
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