おやすみルーカス

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 ここに来てから、本当はずっとずっと気になっていた。  開けようか、開けまいか。  明日にしようか、やはり今日にすべきか。  悩んだ挙句、だけどここは今は私名義だし、とか。  おばあさまがこの鍵をくれたんだし、とか。  色々と開けてもいい理由を探し出す。 『ここは、わたしの秘密のお部屋なの』  幼い頃の記憶が、ぼんやりと甦った。  別荘(ここ)に遊びにきていて、その部屋の扉を開けようとガチャガチャとドアノブを回す私を、おばあさまはやんわりと制した。 『おばあさまの秘密のお部屋?』 『そう、だからごめんなさい。いくら可愛いマイちゃんでも、入らせてはあげられないわ』    いつもは何でも買ってくれる優しいおばあさまなのに、その時ばかりは絶対にダメと言われているみたいで悲しくなって私はワンワン泣いたんだった。  その後、一人息子である父すら入らせてもらったことがないと言っていたから、本当におばあさまのプライベート空間で大事なものを隠していたんだと思う。    そうまでして、おばあさまが隠したかったもの、って?  意を決し、鍵を握りしめて、ギシギシと音の鳴る階段を上がりながら、私の心臓は早鳴っていく。  屋根裏部屋のようになっている三階の部屋。  おばあさまの秘密の部屋の前に立った。
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