おやすみルーカス

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「っ、いやっ!!!」  腰を抜かし尻もちをつくほどの衝撃を受けて、震えながら目の前の光景を信じられない気持ちで見つめた。  大きなガラスケースの中に、死体があった。  成人の男の人、それも金髪の外国人のようだ。  なんで、こんなものがここに?!  誰かに電話しなきゃ、でもどう説明するの?!  おばあさまの秘密の部屋に、死体があります? いやいや、ちょっと待って、冷静になろう!!  ワナワナと震えながら、這いつくばって立ち上がろうとしてその死体の首筋に目が留まった。  その一瞬で感じた違和感。  ……? これは、死体じゃない、死体ではない!!    よくよく見れば、首筋にも、そして指先の一本一本にも線が入っている。まるでブロックのつなぎ目のような線は手首にも。それから瞼の上にも。  カラクリ人形、それも精巧に作り込まれたもの。  遠目から見れば、絶対に死体にしか見えないはずだ。  棺桶のようなガラスケースに入っているから死体に見えるだけで、ベッドに寝ていたらただ眠っているだけの人に見えるだろう。  それくらい精巧な造り。肌や髪の毛も艶があり、目を瞑っていても端正な顔立ちだということがわかる。  白いシャツとベージュのズボン姿のその男の人を近づいてゆっくりと観察をする。  どこかで、見たことがある気がした。  そう、きっと、あの人だ。
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