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当時、鮫島という男が自分の中で悪い奴には見えなかった。だけど、周りの見方が、余りにもかけ離れて居たので、僕は随分振り回された。 冴子とは、その後上手く行かなくなって疎遠になってしまった。 今僕はもう、40を過ぎた親父になってしまった。されど、ことごとく当時の事をやはり思い出してしまう。なんで、何時迄もその思い出が離れないか、と言うとやはり、僕自体は彼の事が、好きだったからだ。 鮫島くんが当時、何故僕と一緒に尾崎豊という人のお墓参りに、行こうと誘ったのか、その真偽がわからないまま、こんな歳になってしまった。 確かに見た目は怖くて、近寄り難いモノが彼には付き纏って居た。 それでも、何故かその当時の事を拘っているのは、僕が何か抜けている部分があるのではないか、と思っているからだ。
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