1人が本棚に入れています
本棚に追加
色んな欲望
私って凄く変わってないかな?
そう聞く美空。
これは、悩み相談か?と考えた。が、生憎俺は頭が悪い。医者などヤブだと見下している為、恐らく、賢いフリをする事をこの女は望んでいない筈だ。
寧ろ、医者に対する猜疑心が募っているだろうと踏んだ。
まだ、年端もゆかない親に見守られなければならないはずの年齢の子がこんな、精神病棟に放り込まれて居るのは、どこからどう見ても、普通じゃない。
俺は、何故かその、荒みきり病んだ、暗い顔のオンナが気になった。
お前、趣味は?
手を広げて、グーパーしながら、彼女は私の事を見上げて、うーんと唸る。
なんのマネだ?
あ、いや、その、あまりそう言う、人がする、人らしいことしてない。
あー、なるほどねーガキ。
その言葉に反応する少女。
かなり、憤りを見せている。俺は俄然からかいたくなった。
オマエ、なんでこんな、ジメジメした所に、居座る?
…
黙り込む美空。多分、俺になんて言葉を返そうか悩んでいる。
お兄さん、女の子みたいな顔してるね?
ハ?
それは不意打ちを喰らった。
それは、俺が一番言われたくねぇ言葉だ。
オイ!ミソラ。
声色が変わるのが自分でもわかった。
そうなると、俺は自制が効かなくなる。
オンナを女と思わず、弱い存在、護らなければならないと言う、世間一般常識から、かけ離れた、残忍な狂気に変わる。
ヒトはそんな事で?と思うかもしれない。
だが、オレから言わせたら、人には誰にだって、触れられたくない過去がある。
それは、触ったらいけない。
完全にフッキレかけたその時だった。
自分の中に、僅かな疑念が生じた。
この女、なんでオレの過去を分かった?
顔は、他人に舐められない様に、無精髭にして迄、人の目を誤魔化している。昔、まつ毛が濃かったので、成人したのち、剃った。声帯は、喉を潰す迄、大声で、街の中にたむろしている、不良を日頃の鬱憤をぶつける様に、粉々に陵辱したのだ。そこまでしているのに、このオンナはオレの過去を見つけた。
ナニモンダ?オマエ。
俺は返す言葉を失っていた。
続。
最初のコメントを投稿しよう!