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傍にいる怖い人
喧嘩が弱く、ガリガリで色白で、痩せていたので、身体が華奢だったので、よく虐められて、障がい者だと言われていた。
そんなことだけでそう言うなんて、酷い人達。
悲しい瞳で、君は私を見つめていた。
今、自分も本当に障害持ってしまって、後天的なモノだけれど、そういう過去は、関係ないんだ、って思うよ。僕は、自分が身体怪我して、左腕は、もう、ガラクタ同然だ。
本当に立つ瀬ないよ。
本当にそんな事に悩まない彼らは、永遠に僕の痛みなんか、知らないと嘯くだろう。本当に胸糞、だよ。
彼はため息を吐きながら、この会社の人間が全員キライだとハッキリ言った。
なんで、そこまで…
身につまされる想いだったので、思わず言ってしまった。
よくそんな事言えるね?
?え?
そんな事を言ったら、貴方クビに…///
そこまで言って、彼女は口をつぐんだ。
ハ?
私は、悲しい気持ちになった。
そんなことも言えない世界なのだから。
こんな事は何処にでも有る事なんだそうだ。
キミも気をつけたほうがいいよ、僕はもう、良い加減に死にたい。
彼は、医者に睡眠薬を多めにもらって、精神不安に苛まれている。
人間に対する恐怖心が強く、顔が強張っていた。
彼は、或る夜、睡眠薬を過剰摂取して、十日ばかり、昏睡状態になってしまった。
その時に、不快な夢を見た。
其れは、彼らが嗤っていた夢だった。
あー、僕は邪魔者なんだな…
新しい人は来ない、女が来たが、夢で女がブチギレて、ヘルメット地面に、叩きつけていた夢を見た。
やってられっか!的な、強い感情だった。
オレもオマエみたいに、逃げられたらよかったのにな…
そんなシーンで目覚めた。
残酷な、過度なネガティブさが私を膿んでいた。
余程、仕事が負担なのか、重圧が重かった。
当然、些細な事で、キレてしまう自分も居た。
彼は、女の様な指をして、繊細な、美しい手をしていた。
されども、彼はその指を否定していなかった。
その自分の繊細な腕が、作り出すモノ、その身の丈にあった、創作が彼には、相応しかった。
高貴なものは作れない。
彼は、自分の世界観が、物騒な世界、島田清次郎の大正の頃の時代設定で、島田清次郎と馴染みのあった人物が織りなす群像喜劇を、作っていた。
色々な設定を細かくして、刀鍛冶だったり、陶芸の達人だったり、と自分の好みを取り入れて創作していたが、島田清次郎本人の、こんな酷い暴力が孕む危険な青年達の野蛮で、物騒な世界観は、どうしても躊躇われた。第一、書く事が続かなかった。
彼は、繊細な時代の、今の時代において、女性が鋭くなるそんな先端を切り取った、女性の淡麗さに、関心が高かった。
オンナの悪びれた、あの底知れぬ、悪意にゾクリとするのだった。
そこに憧れていたのだ。
よし、これにしよう
十日後の永い昏睡状態から、パチリと、見事生還した彼は、自殺未遂した事を契機に、今の会社を辞めて、別天地へ移った。
其れが功を成したーと言う話だったそうで有る。
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