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静と動
静かにして欲しいの…
そう言い、彼女は哀しい笑みを浮かべて、私に微笑んでいるのか、泣いているのか分からない顔をしていた。
考えたが、僕には君の事がそんなになる迄、こんな所に、追いやられているのが、どう考えてもわからないんだ。
自分でも色々と考える事は有るのよ?
そう?
勿論、考えてます、そう彼女はキッパリ言い退けた。
しかし、其れでも彼女の心の内には、まだ何か言い淀んでいるかの様な空白が有るのが、垣間見えてしまう。
しかし、それ以上僕が何かを言う事は無いだろう。
考えても、君の問題でしか無いのだ、そう割り切り、それ以上、もう触れない様にする。
彼女が、どんな孤独を抱えていようと、彼にはそれ以上、僕が何かを答えるのもはばかるし、僕には彼女が、悪い人には視えず、面白い人に見える。
なんでそんなに優しいのかわからない。
彼が時折、口にする事は殆ど下ネタで下世話な、下品なネタで、言い方がすごく変だが、どうやら、露出魔らしいきらいがある。
見られる事が意外と好きな人の様だ。
お互い、話したい事が終わると、おやすみを言い、電話を切る。
これは、彼には云うなと言われているが、彼は自分の事が相当好きな様だ。
風呂場で独り、彼は、自分の裸を透きガラスに映るおみ足が、しゃがんで横を向いてる様が、肌が白い柔肌なオンナの裸の様に見えて、我が身ながら、見事だとドキッとした。
オンナみたい…。
呆気に取られ、魅入ってしまう。
とくん…
心臓が脈打つ。
手を昔、女みたいな手をしていると、バイト仲間に言われて、そう言えば、昔から、彼は同性を、触ると、中学男子達は、股間をモジモジと、急に女々しくなり、オカシクなった。
其れは、きっと、僕の手がスラッと少女漫画のオスカルみたいに、真っ白な、長い手指をしているからかもしれなかった。
彼には彼女が居たので、正直、そう云う人が私みたいな人間に対して、優しくしてくれるのは、大人みたいに見えた。
私にはまだ、彼みたいな、そう云う温かな眼差しが無く、子供じみている。まだまだ荒削りな面?が多いし、気が張ってるし、実際仕事してても、へつらう事なく、いつも気が強いと、怖い、怒ってるの?と、良く怖がられる。
でも、そんな私でも、良いよと褒めてくれる人が居てくれるから、私は昔と違い、随分人の温かさに、潤み、涙を流す。
良い子にしてなきゃならないなんて、そんな事まだ、子供だから、分からない。
口元、口角を上げて、笑みを釣り上げて、営業スマイルを浮かべる。
鏡の前に映っている私は、いつも、不機嫌だ。
自分の眼が、まだ何か言い足りない事があるかの様に、荒ぶっている。
しかし、自分の眼をジーッと見ても、何で自分は、生きてるのか分からない。
見てると、本当に益々、分からなくなってしまう。
自分は本当に、何がしたいのか?今だに、良く分からない。
…余り、自分とは何か?について、正直、考えたく無いのが本音だ。時々、悩むので、気をつけている。
ナニヲダロウカ……
私の目の瞳孔を見たが、黒い部分が、小さく、ブラウンが過半数を占めていた。
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