キター!神展開!!

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キター!神展開!!

その日から、気が付くと支倉先輩の隣には彼女が居て、幸せそうに並んで歩く姿を見かけるようになる。 先輩が幸せなら僕は良いんだ……と言い聞かせて、窓から2人が並んで歩く姿を僕はただ見ていた。 並んで歩く2人の感じからして、支倉先輩がベタ惚れしているみたいだ。 支倉先輩の視線が、愛しそうに彼女さんを見つめている視線に胸が痛む。 (彼女さんを見る視線のちょっとで良いから、僕を見てくれないかな?) そう思って2人を見ていると、支倉先輩がふと視線を上げて僕と目が合った。 (思いが通じた!!) 驚いている僕に、支倉先輩はふわりと優しい笑顔を浮かべてヒラヒラと手を振ってくれた。 単純な僕は、それだけで幸せになってしまう。 先輩にぺこりとお辞儀をしている僕を、隣の彼女さんも微笑んで見ている。 お人形さんのように可愛らしいその人と、先輩が幸せで居て欲しいと願いながら2人を見送っていた。 「何?又、支倉先輩?」 そんな俺の背中に乗って、後ろの席の和田明日美が窓の外を眺めた。 「うるさいな!和田だって、剣道部の女子キャプテンにキャーキャー言ってるくせに!」 「中林先輩はカッコイイからね。あんな男前の女性になりたい」 うっとりとした顔で呟く和田に 「とにかく、背中に乗るな!」 と言って、僕の背中に乗ったままの和田を退かした。 和田は身長170cm超えの、バレー部期待の星。 サバサバした性格で、何故か入学してからずっと僕に絡んでくる。 そして、和田が憧れている中林先輩というのは、弱小バレー部を県大会にまで行けるまでに強くした女子バレー部のキャプテンでエースの人。 共学なのに、何故か毎年バレンタインにはチョコをたくさんもらい、ファンが居るというカッコイイ先輩。 まぁ、男の僕から見ても、中林先輩はカッコイイと思う。 「確かに……。中林先輩は、カッコイイ!!」 頷く僕に、和田が弾けるように笑うと 「森川、分かってくれる?だよね~」 と言って頷いた。 こうしていると、和田も普通の女子なんだけどね。まぁ、腐男子の僕としては、百合展開が身近に見られて美味しいと思っては居る。 そんなことを考えていると 「支倉先輩、モテるらしいよね」 と、ポツリと和田が呟いた。 「誰にでも優しくて、誰のものにもならなかった支倉先輩が高橋先輩と付き合って泣いた人は数しれず……だったらしいよ」 「へぇ~」 和田の言葉に納得しかけて、思わず一瞬固まる。 「お前、詳しいな」 「え?そう?支倉先輩が好きな子、知り合いで多いから普通に情報が入ってくるだけだよ」 「とか言って、実は支倉先輩狙いだったりして」 ニヤリと笑った俺に、和田が慌てたように 「止めてよ!私が好きなのは!!」 と叫ばれ、きょとんとして和田を見ていると、和田が真っ赤な顔をして口をパクパクとさせた後 「森川のバカ!!」 と叫ばれた。 さすがバレー部。 耳がキーンとする位にうるさい声に唖然としながら、走り去る和田の後ろ姿を見送った。 「何なんだ?あいつ」 そう呟いて、支倉先輩達が消えた校庭に視線を戻した。
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