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「いいじゃない。瑠香だって暇そうにしているし」
「おばあちゃんにわかるの? いつも外出しているのに」
「わかるわよ。ソファーが同じ形でへこんでいるから」
由依は、自分が言ったことが面白かったのか、ウフフと笑った。
「まったく……」
どこかに連れて行けなんて言うんじゃないわよ。……瑠香は、そう念を込めて大吾を睨みつける。彼は、祖母に逃げ道を求めた。
「おばあちゃんは、いつもどこに出かけているの?」
由依は「んー」と間をおいてから「あちこち、色々な場所よ」と答えた。
「徘徊しているんじゃないよな?」
ストライカーの丈治は怖いもの知らず。遠慮がなかった。
「安心しなさい。頭はまだしっかりしているわ」
「みんなそう言うんだよ」
彼がそう言って笑う。つられて瑠香も笑いかけた。それを中断したのは、由依の眉間にシワが寄っていたからだ。
「丈治、年寄りを馬鹿にするものじゃないよ。歳をとったって、図書館や公民館、ショッピングモール……、行く場所はいくらでもあるのよ」
「おばあちゃん。明日、一緒に行ってもいい?」
暇つぶしなのか、由依の日常に好奇心を覚えたのか、大吾が身を乗り出す。
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