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「!?」
高倉夫婦の時が一瞬止まった。なぜその言葉?そんな疑問が頭を過ぎる。しかし脳の処理よりも周りの方が動きが早い。
「本当。本当。『おめでとう』!いや『おめでとう』!」
「『おめでとう!』息子さんたちも『おめでとう!』」
「『おめでとう!』。兄さん若いのに頑張った!『おめでとう!』」
立ち上がり賛美を贈る村民。
高倉夫婦をそっちのけで、一心に賛美の拍手と禁止されていたはずの『おめでとう』が飛ぶのに夫婦は狂気すら感じた。
「なぁ、『おめでたい』だろ?」
宮下さんは次々と企業の責任者や息子達に『おめでとう』の共感を求める。無理矢理にも頷かせるまでその賛美は続いた。
「はいはい、お終い。皆さんからのお陰様で大変『おめでたい』気分になりましたので、どうぞこれからもよろしくおねがいします!」
こうして大絶賛で説明会は終わり、その称賛は集会場を出ても続き、集会場の中には高倉夫婦だけが取り残されたようだ。
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