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「貴方の選択肢は二つ。聖水を噛まれた痕にかけ人に戻れるか試すか後は……」
そこで何かに気付いたように上着を肌蹴られた。
「何を」
「これは……そう言えばまだでしたね」
意味が分からない、という顔をしていたんだろう。
「吸血鬼の噛み痕は独特なんですよ。治まるには噛んだ吸血鬼が手を加えないと傷口が塞がらないんです」
普通は軽く嘗めたりするだけでいいんですけどね。
確かにじくじくと痛みを持つそこはまだ治りきっていなかった。
(いつもは、……ああ)
閨事で何度か嘗められていたな、と思い返し体が熱くなる。
「これだと聖水を掛けるとかなり痛みを伴いますね」
「勝手に話を進めないでくれ。俺はそんなことをするつもりはない」
紫の瞳が見開かれた。
「正気ですか? 折角人に戻れるというのに。それともまさか」
「俺は自分でここへ来たんだ」
空気が変わった。
「そうですか」
肌蹴られた上着が破られた。
「何、」
「自覚がないんですか。貴方は今吸血鬼に与すると言ったんですよ。ああ、それともう一つの方法ですが」
まだ熱が渦巻く体に手が伸ばされた。
「魔力を抜くには退魔師に抱かれるのもいいそうなんですよ」
(はあああっ!?)
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