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「待っ……」
どうやら我が主はあちこちに隠れ家を用意しているらしい。
そのうちの一つに落ち着いたところで俺は寝室へ運ばれ、そのまま……。
(それはヤバいっ!!)
今俺の体は『飢え』でとんでもないことになっていた。
(とにかく止めて貰わないと)
我が主の顔を見た俺は動きを止めた。
(え……)
そこにあるのは激しい渇望。
「なん、」
「ようやく封印が解けたか」
(どういうことだ!?)
「お前は幼少のころから心の奥の感情が分かるのだったな」
俺の体を宥めるように抱きながら、
「だがそれでは人の世では生きていけぬ。故に我の名を鍵に封じておいたのだが」
まさかここまで待たされるとは思わなかったぞ。
(それって、もしかして記憶が)
「いつから」
我が主はどこか楽しげに、
「始めは分からなかったな。何せあの復活は不完全だったしな。だがそれでも自分の手掛けた封印位は見分けがつくぞ」
なかなか我が名を呼ばぬのには参ったがな。
肌蹴られた上着の間から手が入り、次々と熱を広げていく。
「待っ、……ダメ、」
それだけで息が上がるが何とか言葉を捻り出すと不服げな青い瞳があった。
「何故だ?」
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