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三
自室のベッドに寝転がり天井を眺める。今日はクリスマスイブ。世間はウキウキ気分な人々で溢れているだろう。
去年と同様に久実と喋り倒す予定だったが、一週間前にドタキャンされた。
『ごめんね美奈子。彼氏と過ごすから!』
裏切り者の言葉が何度も呼び起こされる。和也はどうしてるだろう……彼氏と過ごす……か。
はぁ、もういいや。今日は一日、家でゴロゴロしてよう……。
寝返りをうつ。壁に貼られた去年のカレンダーが目に入った。……和也、去年は家の側で待ち伏せしていたっけ。
起き上がり、窓のカーテンを開ける。眩しい日差しが薄暗い部屋に差し込んできた。目を細め周囲を見回したけど、人っこ一人いない。
あみだくじのような複雑な線が、心臓に絡み付いてきた。なぜだろう……安心すべきなのに。
軽く息を吐き、ベッドに座る。枕元に転がしてあったスマートフォンを手に取りメッセージアプリを開いた。
今日は彼からの挨拶がない。いつもなら朝に入っているはずなのに。
『お疲れ。今日は友達にドタキャンされた。だから一人。和也は仕事だっけ?』
シーツに背中を預け、暇つぶしにゲームアプリを開いた。
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