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 咄嗟にハンドルを右に切る。車体が激しく揺れる。縁石に乗り上げた?  反対方向へハンドルを切り直し、アクセルを強く踏み込む。ゴムが弾けるような音がしたと思ったら、外界の角度が横にずれた。重力に引っ張られるかのように、踏切の中へ引き込まれる。  黒板を叩き割るような音とともに、世界がひっくり返った。体中の血流が頭へと集中する。  カンカンカンと、聞き慣れた音が聞こえる。これは、遮断機が下りる時になる警告……。  頭の中の血液が、凝固したような感覚が襲ってきた。不自由な手を操る。  男性の悲鳴を耳で受けつつ、いつもは苦なく触れているPushボタンを捜索する。  カチッという音とともに、鈍器で殴られたような痛みが頭に走る。涙を拭い割れたフロントガラスから、天地が元に戻った景色を見る。  ライトが私の体を照らしていた。地面がガタガタと揺れる。訪ねてきたのは、死神を乗せた特急電車。
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