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中学からの親友である久実が、舌をペロリと出しながら、窓のくもりをなぞっていた
久実と腕を組み、カフェへと向かう。同じように腕を組むラブラブカップルが前を横切った。
あんな輩は無視無視。今日はクリスマスイブ。心を許せる親友と、趣味の話で深夜まで盛り上がろう!
―ー
「歩美も近々結婚するらしいよ」
結局、こういう話になってしまう。
「そうなんだ……後でおめでとうって送っとこ」
この一年で、何回『おめでとう』と言っただろう。春香、加奈子、亜美……四回目だ。
「それと、美鈴が妊娠したらしいよ」
私にスマートフォンの画面を見せつけながら、久実が投げやり気味に言い放つ。お腹をふっくらとさせ幸せそうに写る美鈴の姿が、眩しく写っていた。
「はぁ……私達だけ置いていかれるね」
中学の頃からアニメキャラに夢中で、三次元など眼中になかった美鈴が、まさかイタリア人のピザ職人と結婚するなんて。
「なに言ってんのよ! あんた彼氏できたんでしょ?」
スマートフォンを置き、シロップたっぷりのパンケーキにフォークを突き刺す久実。
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