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「かず……や?」 「美奈子。メリークリスマス」  窓越しから聞こえた私の名を呼ぶ声。不用意に開けては駄目だと分かりつつも、人差し指が窓の開閉ボタンに触れる。  不審者は和也だった。 「は、え……な、なんで……え?」  突然現れた和也に、言葉が紡げない。こんにゃくが喉に詰め込まれたみたい。 「な、なにその反応……え、なんかごめ、ごほっごほっ!」  お辞儀をしながら咳き込む和也。 「ち、違う……えっと、ふ、不審者だと思って、そ、それより大丈夫?」  喘息持ちで、しばしば体調を崩す和也に向けそっと手を伸ばす。 「大丈夫だよ……それよりほらっ!」 ポケットから手を取り出した和也。ハンカチサイズの青い包み紙を差し出してきた。 「どうしてもこの日に渡したかった。でも、濡れちゃったな……ごめんな」  流石、警備員と感心してしまうような丁寧なお辞儀で謝る和也。 「大丈夫だよ、ありがとう……寒いでしょ? 車の中に入りなよ」  受け取った包みをポーチに入れながら、エンジンをかけ直す。
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