擬、疑惑

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「追加注文。『話し相手』もひとつ」 「そんなメニューはございません」 「昨日から付き合い始めた人がいるんだけど」 「ご注文は以上ですか?テイクアウトのホットコーヒーおひとつで、280円です」 「その日の夜に『距離をおきたい』とだけ連絡がきた。理由は心当たりがあるけど唐突過ぎる。加えて曖昧。返事をしても反応はなし。既読になったのは意地悪にも確認されていたらしい。弄ばれてるか、試されてるのか…どっちだろ?」 「280円です」 「怖気づいたんだ?」 「ちがいます!」 「謝らせてほしい。説明する時間を貰いに来た」 「説明はなにも必要ありません」 「そんなはずはない」 何気ない微笑みで、一体どれだけの女性が惚けるのか。 彼は知っていながら笑うのだろうか。 「面倒な男の事情なんか、知れるはずがない」 「もう全部分かってるんです!直接聞きたくなんかありません!」 震えながら無謀な告白してきた未成年が哀れで、断れなかっただけだよ そう聞いてしまったら。 昨晩のひどい自分を思い出す。
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