雪降る町に

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雪降る町に

雪が降った町 そぞろ歩く人の中に自分もいる。 とにかく寒い。 首を縮めながらも私は片手で傘を持ち、 着なれないスーツを着て、 転ばないように足元を見ながら歩いた。 しんしんと白い雪が空からこぼれ落ちる。 見馴れない雪に私は少しドキドキしていた。 そして、どこか夢心地で、 とにかくとても綺麗だと思った。 ふと、頭の中である言葉が流れた。 「東京は富士山に守られている。  だから、良くも悪くも、  めったに雪が降ることはない。」 確か、小学校の先生か 誰かが言っていた言葉だ。 東京は富士山に守られている。 それが少し不思議で面白いと思ったんだ。 でも、今日は特別。 富士山が守りきれなかった雪が 今ここに降ってるのかなぁ...。なんて。 本当のところ、 東京に雪があまり降らない理由は もっとたくさんあると思う。 でも、 今の私はそれ以上考えることはしなかった。
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