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それにしても、まさか爆破予告よりもずっと以前に、「文化祭をぶっつぶす」などと宣言している人が身近にいたとは。これは有力な容疑者情報だ。
「それで金森くん、今日はどうしてるの?」
「一日練習日だから学校来ないんじゃないかと思ったけど、来てるよ。ぶつくさ言いながらも一応、コーラスの配置の中には入ってた。
……でもそういえば、さっき休憩に入ってからは姿が見えないね。午前中の休憩では隅で縮こまって、ブックカバーで表紙を隠した漫画読んでたのに」
綾奈の言葉に、ひやりと嫌な予感をおぼえた。
もしや、爆破予告状を出したことに満足して、帰ってしまったんじゃないだろうか。
朝は平穏だった職員室が急に騒がしくなったところを見ると、爆破予告はつい今しがた発見されたのだと思われた。
予告状を出すためだけに登校して、先生たちの隙をついて出し終えたのだとすれば、もう学校に用はないじゃないか。
「ねー恵理子ー、金森のかばんってどれだっけー? 机どこ?」
綾奈がクラスメイトに尋ねる声が聞こえる。
「金森だったらとなりだけど……って、かばんなくなってるじゃん。こりゃまた佐脇さんが荒れるぞー、めんどくさー」
校内から出られてしまったら、説得は一気に難しくなってしまう。
綾奈たちにお礼を言うのもそこそこに、わたしはあわてて校門の方向へ走った。
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