相棒は近くにいる

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「一年のあなたには想像もつかないかもしれないけど、わたしたち三年にとっては最後の文化祭なの! 中止になんてさせるわけにはいかない。お願いだから、爆破予告は取り下げて」  下級生だからといって、体裁を気にしてはいられない。恥を捨てて、まっすぐに頭を下げた。  ポニーテールが頭頂部を越して、前に流れ落ちる。地面のアスファルトで視界がいっぱいになった。  焦りと惨めさでぐちゃぐちゃになったわたしは、自分が呼び起こした悲壮感に今にも呑まれそうだった。  そんなわたしの頭を低い位置から見下ろしている彼女は、くふくふくふと、ひらがなで表現できそうな特徴的な笑い声を上げ始めた。 「なにを……恥を忍んでお願いしてるのに、そんなに笑うことないでしょ」 「違いますよ、先輩。勘違いです。あたしは犯人じゃありません。どちらかと言うと、あなたと同じ探偵でしょうか」 「た、探偵?」  いったいわたしは、いつから探偵になったというのだろう。  爆破予告の次は探偵とは、今日はどうも、現実味のない単語があたりを飛び交いすぎている。 「まぁ正確には、記者なんですけどね。新聞部一年、神崎(かんざき)です。どうぞお見知りおきを」  どこか斜に構えたふうの笑みを浮かべた神崎さんは、ブレザーの内ポケットからコンパクトカメラを取り出してちらつかせた。
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