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地獄の亡者
「それより、どうして? 私、亡者と一緒に地獄に落っこちちゃったっけ?」
私の呑気な質問に
「それならまず地獄の業火に焼かれるだろ? ここで穏やかに寝てなどいられないよ」
と篁さん。
言っている端から、遠くで誰かが空の上からポロポロと落ちてきた。
その後に続く「ぎゃー」と悲鳴。
地獄の業火に焼かれる洗礼を受けている。
「私の他に『冥府の番人』がいるんですか?」
「物騒だね。そんなに亡者を逃がしていたら、とんだ大ごとだよ。冥府の安全性に問題ありってなってしまう」
なんか刑務所みたいな言い方だなぁ。
「じゃあ、あれは?」
私はさっきから、空から落ちてくる亡者を指さした。
「閻魔様のお裁きで、正式に地獄に落とされた者達だ。現世から冥府への直通の穴を通せるのは、閻魔様が認め、我が力を引き継ぐお前以外できっこない荒業」
あ。分かった。
私を持ち上げているように見せかけて、実は、篁さん自慢しているでしょ?
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