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コリコリの正体は、鶏の砂肝だった。
「『尾道焼き』には砂肝が入るんよ。うまいじゃろ」
うん、美味しい。
砂肝とお好み焼きの相性が、こんなにいいとは。
二枚目のお好み焼きも、あっという間に乃依のお腹に収まった。
食べ終わると、車は国道を広島市方面に戻り始め、尾道市の隣の三原市へ入る。
「あー、三原まで来て、たこ飯たこ天を食わんなんてありえん」
「食べてもいいけど?」
「いや、本来の目的を見失ってはいけない!」
なんだか聞いたことのあるフレーズ。
『三原焼き』には、鶏モツが入っていた。
食べる場所で味が変わって、面白い。
「ノイ、どうだった? お好み焼き、好きになった?」
完全にお好み焼きに胃袋を掴まれてしまっていた乃依だけれど、好きと言ってしまうと次が無い気がする。
「まあ、美味しかったけど……二日目を味わってからじゃね」
素っ気なく答えて車に乗り込む。
この日はワクワクのおかげか、少しも寒さを感じなかった。
本当にお好み焼きだけのせい?
栄ちゃんとだから?
いやいや、まだ『うまいもの市』と今日と2回しか会ったこともないのに。
乃依はそんな言い訳をしながら、すっかり夜景にかわってしまった景色を眺めていた。
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