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お好み焼きツアー二日目。
この週末は、偶然にもクリスマスだった。
「乃依、彼氏できたん?!」
珍しくクリスマスに出掛ける妹に、お姉ちゃんが驚く。
「違うって。お好み焼き食べるだけじゃけぇ」
そう言い残して家を飛び出す。
車は県北の三次市を走っていた。
高速を下りて、三次ワイナリーに寄り道する。
「あー、ワイナリーまで来て試飲せんなんてありえん」
「私、運転してもいいけど?」
「いや、本来の目的を見失ってはいけない!」
既にお決まりのやり取り。
「じゃ、仕方ないから私が」
乃依は試飲用のカップを取ってワインを注いだ。
「あっ、ずりぃ!」
ふっふっふ
乃依は栄ちゃんに見せつけるようにカップを傾ける。
うわ!
普段はワインなんて飲まない乃依だけれど、葡萄の香りが広がってとても美味しく感じる。
ちょっと白の方もいってみましょうかね……
「こら、酔っ払ったらお好み焼きの味がわかんなくなるじゃん!」
葡萄ジュースで我慢している栄ちゃんが怒る。
「ちょっとだけじゃけぇ。体があったまるんよ」
そう言った乃依は更に二杯ほどおかわりした。
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