出会ってすぐにカップルデート?! あつあつお好み焼き物語☆

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 この日はやたら寄り道が多かった。  と言うより、お好み焼きはさっきの一枚で終わりだった。  『もののけミュージアム』の見学を終えても、車はまだ北上している。  えっ? ここは……!  着いたのは『備北丘陵(びほくきゅうりょう)公園』だった。  来るのは初めてだけれど、乃依もよく知っているイルミネーションスポットだ。  まだ明るいので点灯はされていないけれど、周りには少しずつカップルの姿が見え始めている。  それはそうだろう。  今日は、クリスマスなのだから。  乃依は自分のスウェットとパンツ姿に場違い感を覚える。  お好み焼きだと思っていたから…… 「ここさ、アスレチックあるん。まだ時間あるし、やろうや」  あ、そっちか。    それならばと、乃依は栄ちゃんの後についていく。  目についたアスレチックをやったりやらなかったりしながら周る。 「何か、懐かしいなあ」 「そうよね。私もこんなの十年ぶり? いや、もっとかな。子どものころ以来」  難易度はそれほど高くなくて、コートを着たままでもそこそこ楽しめた。  途中、手袋を家に忘れて来たことに気づく。  だって、お好み焼きを食べるだけだと思っていたし……  寒さを忘れるほど何かに夢中になったことのない乃依は、自分の気持ちによくわからない言い訳をしながら、寒空のアスレチックに挑んでいた。
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