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刑事ドラマで現場百遍とは言うが実際にはあまりそのような事は少ない。昨今の鑑識の証拠収集能力は高く、聴き込みなどの情報もデジタル管理がしっかりしている。よくいわれる冤罪という案件は情報を管理運営し結論を導く立場の人間の能力が低いか、最初から結果ありきの話によるものしかない。
ゆえに肺から海水が検出されたという項目を無視して事件ではなく事故として処理された事実が私には引っ掛かるのである。
何かがあるのだろう。
「さて、現場は美濃街道の途中か……」
後部座席にはウェダーにフライロッドなど釣具がのっている。
「釣りをしようか」
現場到着はまもなくである。
トンネルを抜けると左手に河川敷の雑木林が見えてきた。
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