勇者が魔王を倒す時、もう一度その唇に触れる

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― ―――― ―――――  ねぇ、気づかなかったかもしれないけど、あの時助けた子犬って私のことなんだよ。  あなたは犬って言ってるけど、あれ実は狼だよって言ったら、驚くかな。  両親がいなくなってからずっと一人だった。  この力のせいで苦しんで、人を恨んだことだって何度もある。  だけど、あなたが私を助けてくれたから。人は優しいって知ったから。  だから私はどれほど人が身勝手でも、恨まずにいられたんだよ。  優しいあなたにずっと焦がれて、焦がれて、焦がれて。もう一度会いたいってずっと思ってた。  だからもう一度――……
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