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「ああ、いやああ! 叔父さん、叔父さん、叔父さんを助けて! 助けて! いやああ!」
「もちろんです。そのためにもカナさんには、同意書を書いてもらわなくてはならない。できますね?」
「は、はい……」
自立も難しいほど震える体を女性の看護師に支えられながら、カナは懸命に待合室へ向かっていった。
「先生……」
「僕はあなたを手術します。それがカナさんの願いでもあるから」
「分かった……手術は、受ける。その代わり、失敗してくれ。医者の評判を下げてあんたにゃあ済まないが、頼む……」
男の目の焦点は定まらなくなっている。血圧も下がり続けている。これ以上説得にかける時間はなかった。
「わかりました」
それだけを答えてやると、男はやっと静かになった。
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