永遠の愛を君に注ぐ ─リラとタクの場合─

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** 「あ……雪」  窓の外に粉雪が舞っている。  キラキラと目を輝かせる恋人の姿に、帰宅したタクは目を細めた。 「タク? どうかした?」  振り向いてキョトンとする無邪気さに胸が痛んだ。言わなくてはならない。それが苦しかった。 「きょう」 「なに?」 「今日、戸田さんが死んだ」 「……あ……」  優しい眉が悲しく下がる。今にも泣き出しそうな表情にまた胸が痛んだ。 「結局、俺は」 「タク」 「俺は結局、何もできなかった。手を尽くしたが戸田さんは死んだ。俺はただいたずらに、苦しみと痛みを長引かせただけじゃなかったのか? 俺のしたことに、意味なんかあったのか?」  違う、リラに掛けたいのはこんな言葉じゃない。甘えたくなどないのに、心に詰めていた本音ばかりがこぼれ落ちた。けれど、 「……あったに決まってるじゃない!」   強い瞳が、思いがけなくタクを見上げた。 「だって見せられたのでしょう? カナさんの花嫁姿を。どんなに短い間だって、戸田さんはカナさんと、たくさんのお話をできたのでしょう?」 「……」  最期のとき、病室に駆けつけてきたカナを戸田は見つめた。声はもう出なくとも、その瞳がすべての思いを語っていた。  幸せに。永遠に、幸せにと。 「ねえタク。大切な人を突然に亡くすって、病気で亡くすよりもずっとつらいんだよ。カナさんは、カナさんのために、一日も永く生きることが、戸田さんの希望だったよ。タクのしてきたことは無意味じゃない。無意味なんかじゃない!」  顔をくしゃくしゃにして泣くのを堪えるリラに、霊安室の前で告げられたカナの言葉が重なった。 『あの事故の時、叔父を助けて下さりありがとうございました。叔父がもう助からない病気だと知って、悲しかった……けど、私は叔父のために、精一杯のことをしたのだって……納得することが、できました。こんなに、こんなに悲しいのに、明日もまたちゃんと生きていこうって、私、思うことができるんですよ。先生のおかげです。ありがとうございました』
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