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口
柊木優(ヒイラギユウ)
23歳
60分コース
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「あのぅ……僕……こういうの初めてで……」
サービスの説明を終えて5分、落ち着きなく目線を泳がせていた柊木さんは意を決したように口を開いた。
白いワイシャツに黒スキニーというシンプルな服を彼はお洒落に着こなしていた。
「そうなんですね。当サービスを選んで頂きありがとうございます」
「……っ……あの………変な予約でしたよね……?自分でも予約したあとに何であんなこと書いちゃったんだろって思ってて……」
すみません、と柊木さんは俯いた。緊張や不安からオドオドした感じになる人はそれなりにいるが申し訳なそうにされるのは初めてのことだった。
「変な予約だなんて思っていませんよ。それにあの内容が柊木様の【要望】ですよね?」
「それは………そうなんですけど……」
でも……と迷うような様子の柊木さんの頬に、キスをする時のようにそっと右手を添えた。
「お受け出来ない内容であれば予約時にこちらからその旨を伝えています。初めてで不安もあるかと思いますが、柊木様の【要望】内容で私がひいたりすることはありませんよ」
そう言ってゴ̀ム̀手̀袋̀をした右手の親指で唇をなぞると今まで緊張や不安でいっぱいだった顔に少しの期待が表れた。
「………えっと………じゃあお願いします……」
そう言って目を逸らす柊木さんの口の中にそのまま親指を入れていく。
柊木さんも俺の指に合わせて口をゆっくり開いていった。
【要望】口の中を弄られたい
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「あっ……はっあ………っ」
親指で歯、舌、上顎と順に触れていく。
口を開けたままなので当然柊木さんの口からは唾液がだらだら垂れていた。
柊木さんが口を開け続けているのに疲れたかなと思ったタイミングで一度中断しその唾液を拭う。
それを何回も繰り返した。
「はっ………ぁ………ああっ…………」
口内や唇が性感帯だという人は柊木さん以外にも何人か出会ったことがあった。
ただどこが1番気持ち良いのかはやはり人によって違う。
上唇や舌の裏、頬の内側という人もいた。
柊木さんはどこなんだろうと考えながらゆっくり指を動かしていると柊木さんの右手が俺の右手首を掴んだ。
「どうされました?」
口の中から一旦手を抜こうとするとそれを抑えるように柊木さんは手に少し力を込め、口を動かした。
俺の指が上顎と歯茎の間に当たる。
「ぅぁっ…………ぁ……はぁ………♡」
「………………ここが気持ち良いんですか?」
尋ねると俺の右手首から手を離しこくこくと頷いた。
指を一旦抜き、親指の代わりに人差し指と中指を入れ彼の気持ち良いところを擦る。
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!♡」
びくびくっと柊木さんの身体が震えた。
怖いものから目を背けるようにぎゅっと目を瞑った柊木さんの口から指を抜き唾液で濡れている唇と顎をティッシュで優しく拭った。
「はっ……今の………もう1回して……?」
柊木さんはとろんとした目で俺を見上げ人差し指と中指に舌を這わせた。
「────────何回でも」
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