俳優

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佐久間伊吹(サクマイブキ) 23歳 60分コース ──────────────────── 「友達に教えてもらって今回予約したんです」 そう言いながら念の為の変装用だという眼鏡と帽子をはずし鞄にしまう佐久間さんは、テレビで観る時と変わらず淡々としていて21歳とは思えない落ち着きがあった。 見た目も、シャツとジーンズという普通の格好なのに街で見かける大学生とはどこか違う雰囲気を感じる。ぱっちりした二重に長いまつ毛が印象的だった。 「そうなんですね。ありがとうございます。────ご要望内容は『演技の練習に付き合って欲しい』というものでお間違いないでしょうか」 はい、と隣に座る佐久間さんが頷く。 「練習に付き合って欲しいって言っても演技をみてほしいとかそういうのじゃなくて……スタッフさんに教えて欲しいんです」 教えて欲しい、という今までにない言葉に思わず「……………えっと、教えるとは……何を……」と心の声がそのまま口をついて出てしまった。 「"気持ち良い"を教えて欲しいんです」 ──────────────────── 「俺の"感じてる"顔を撮りたいって監督は言うんですけど」 中々難しくて、とベッドで俺に背中から抱きしめられながら真顔で佐久間さんは言う。 "気持ち良い"演技を出来るようになるためハグやマッサージなど一般的に気持ち良いとされる行為をして欲しいと言われ、色々と試したが佐久間さんの顔色も表情もこの30分間変わらなかった。 「役者仲間には手っ取り早くヤッてこいなんて言われるんですけど……俺セックスにもあんまり興味なくて。そういう相手もいないし」 「何をされてどこを"気持ち良い"と感じるかは人それぞれですので性行為で気持ち良いと感じなくても何もおかしいことじゃないと思いますよ。性行為だけが"気持ち良い"行為ではないので」 「………セックスやハグ以外だとどんなことがあるんですか?」 顔だけ俺のほうに向けながら、生徒が分からない質問を教師に聞くようなトーンで佐久間さんが尋ねてくる。 「先程のようなマッサージを気持ち良いという方もいますし、頭や身体を撫でられるのが良いという方もいらっしゃいます」 失礼します、と声をかけ佐久間さんの腹にまわしていた手をすーっと撫でるように動かした。 「ふふっくすぐったい」 「くすぐったいのが気持ち良い方もいらっしゃいますよ」 笑うと少し幼くなったような印象を受けるなと思いながら手を動かしていると、佐久間さんの身体がびくっと反応した。 「んっ…………」 「……………ここ、気持ち良いですか?」 一度手を止め佐久間さんの表情を見ながら再び反応した場所────乳首をシャツ越しに撫でる。 「っ…………!や、わかんないっ………」 「………嫌ならやめますね、失礼しました」 そう言って離そうとした手を、佐久間さんが重ねるように掴み自分の胸のあたりに押し付けた。 「ぁっ………き、気持ち良いかはわかんないけど………い、嫌じゃないから………触ってほしい…………」 耳まで真っ赤にしながらぼそぼそと話す佐久間さんの顔はおそらく監督が撮りたいものそのものだろう。 「承知しました────どういう風に触られたいなどありますか?」 「え………?ど、どういう風にって………?」 困惑と期待の混じった目で佐久間さんが俺を見上げた。 「例えばさっきように手のひら全体で撫でるのがいいですか?それとも────」 言葉を切り乳首のまわりを指の腹で擦るように撫で、次に乳首自体をシャツの上から押し上げるようにカリカリと触れる。 「こういうふうに指で擦ったりとか」 佐久間さんの身体がさっきよりも大きく反応した。 「んんっ!あ、あぁっ……!」 「どれが気持ち良いですか?」 「ぁっ…………今のっ………指の気持ちい………」 もっと、と熱に浮かされたような表情で俺の手に身体をすりすりと擦り付けてくる。 「"気持ち良い"がわかって良かったですね」 佐久間さんの気持ち良い場所を焦らすようにゆっくりと撫でた。
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