プロローグ

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プロローグ

 その日、まだ十二歳だった私は一つ年上の暁人と一緒にアメリカのNASAマーシャル宇宙センターに居た。二週間に渡ったスペースキャンプの最終日、私は苦手だった英語での最終テストをパスし、晴れてスペースキャンプの卒業式に参加する事が出来ていた。  学長のMr. Betts(ベッツ先生)が卒業する生徒の名前、出身州を読み上げてくれる。前の子が呼ばれたから次は私達の番だ。横に座っている暁人を見ると彼もとても興奮しているみたい。 「アナ、そしてアキト、カルフォルニア 」  私達は驚いて顔を見合わせた。どうして二人同時に呼び出されたの? 首を傾げながらステージに上がるとMr. Betts(ベッツ先生)が満面の笑顔で私達を迎えてくれた。 「おめでとう、アナ、アキト。そして君達には特別任務が与えられるよ」  暁人が驚きの声を上げる。 「先生ありがとうございます。でも特別任務とは何ですか?」  その言葉にMr. Betts(ベッツ先生)が口角を上げて答えてくれた。  私と暁人のチームは今回の卒業生の中で首席だったみたいなの。だから翌日にケネディ宇宙センターで行われるクルードラゴン宇宙船の最初の打ち上げを発射展望台で見学出来ることになったの。  それが『おめでとう』と言われた『スペシャルアサイメント』! この事実に私達は飛び上がって喜んだ。
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